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                   < 正しい自己資金の作り方と増やし方 >




    創業融資における「自己資金」とは?


    前回コラムでは、創業者の方が利用できる2つの融資制度をご紹介しました。

    その要件の中で、「自己資金」という言葉が出てきましたが覚えておいででしょうか?

    この「自己資金」とは、「融資を申し込もうとする場合に最低限、必要となる自分でためた資金」
    のことをいい、特に日本政策金融公庫の無担保無保証融資である「新創業融資」を利用しようとす
    る場合に特に必要となるものでした。


    ここでもう一度、「新創業融資」の自己資金に関する要件を見てみると次のようになります。

    「事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業時において創業
     資金総額の3分の1以上の自己資金を確認できる方

    この場合の創業資金総額というのは、創業をするためにかかるすべての費用を指します。


    例えば、1,500万円かけて飲食店をしたいという場合、そのうちの1/3である500万円の自己
    資金があれば、残りの1,000万円について融資を申し込めるということになります。

    なので、同じケースで自己資金が300万円しかなければ、申し込めるのは600万円となり、全
    体で900万円の事業しかできないということになります。


    このように自己資金が多ければそれに応じた大きな額の融資の申し込みができるのに対し
    て、これが少ない場合にはそれに見合った額での申し込みしかできなくなります。

    また、結果として、自己資金大=大規模な事業が可、自己資金小=小規模な事業しかできないと
    いうことになります。




     「自己資金」になるもの、ならないもの

    それでは自己資金とは、どういうものであればよいのでしょうか?

    資金という言葉からすると、一見、預貯金しかだめなように思えますが、意外とその範囲は広く
    預貯金以外でも、次のようなものは自己資金として認められています。


     <自己資金として認められるものの例

              国債その他、換金性のある有価証券

              生命保険等の解約時返却金(現時点での解約金額)

              株式会社などを設立した場合の資本金

              親などからもらったお金

              現物出資した場合のその物の価格

              退職金  

    <自己資金として認められないものの例>

              他から借りてきたお金

    ②        他の金融機関から融資を受けたお金

    ③        現金(俗に言う「たんす預金」)

    ④        出所のわからない振込または入金された資金




     「自己資金」のあれこれ

    以前、私のお客様の中に「金の現物を持っているのですが、これは自己資金になりますか?」と
    いうケースがありましたが、確認したところこのようなケースでも、信頼できる貴金属商による
    買取りの評価をした証明書などがあればOKということでした。

    ちなみに、自己資金の代表ともいうべき預貯金なのですが、通帳に入っている金額については
    すべて大丈夫かといえばそうではなく、給与などを貯めた、いわゆる出どころのハッキリ
    したお金であることが必要です。

    そのため、通帳に入っていたとしても、なんだかわからないところから振り込まれている金額や
    ある日ポンと残高が増えているような場合には、これらは自己資金としてみてもらえません。

    要は、その入金された理由を説明できるお金なのかどうかということです。



    なお、③にあげた「株式会社などを設立した場合の資本金」については、
会社登記簿謄本に
    その金額が記載されていればそのすべてがスンナリと自己資金として認められると思って
    いる方がいますが、これは間違いです。

    日本政策金融公庫ではこのような場合でも、その会社の発起人(資本金を出資した人)が出資した
    元の個人通帳から確認を行います。

    したがって、一時的に他から持ってきた資金を使って資本金を大きくしている場合や、資本金は
    大きいけれど実際には休眠している会社を買い取ったような場合では、「見せ金」(実体のない
    お金)として判断されます。


    そしてもし、「見せ金」と判断されれば、融資はほぼ受けられなくなってしまいます。



    また、④の「親などからもらったお金」については意外に思われるかもしれませんが、これは大
    丈夫です。


      この場合、それをどのように確認しているかといえば、一般的には贈与者(親等)に直接、電話
    して確認する他、場合によっては、その旨の一筆を持ってこさせて確認していることが多いよう
    です。


    ⑤の「現物出資」とは聞きなれない言葉だと思いますが、これは会社を設立する際などに現預金
    以外のもの(つまり、現物)をもって出資に当てることをいいます。

    例えば、会社の設立にあたって、自己の預金以外にそれまで個人で使っていた車などを会社の財
    産として提供するようなケースがこれにあたります。

    ただし、これを会社の設立時に行う場合には、あらかじめその旨を定款に記載しておく必要
    があり、また、その場合の車の価格は中古市場で実際に売り買いされている金額と同程度の
    ものとする必要があります。




     合法的にできる「自己資金」の増加法

      以上の説明で、「自己資金がどういうものなのか?」、「それにはどんな種類があって、どんな
    点に注意しなければならないのか?」がおわかりいただけたと思います。

    しかし、これから創業しようという方の中には「自己資金が少なくて、思うような額の融資を申
    し込めない」、「あともう少し、自己資金を増やしたい」という方も少なくないかと思います。

    そこで、ここではこのような方のために「合法的に自己資金を増やす方法」をご紹介します。


    通常、自分の手持ち分以外で自己資金を増やすには、以下の方法があります。

     ① 会社を作って協力者(出資者)を数多く集める。

     そもそも会社は、複数の出資者の出資により設立されるのが原則です。
     しかし、最近では手続きの手軽さから、その多くが自己もしくは身内だけで出資するパターン
     がほとんどとなっていますが、
これだけでは思うような資金が集めにくいのも事実です。

     そこで、これを解決するためには、一人あたりの金額は多くなくともよいので、「できるだけ
     多くの人から資金を調達する」というのが、もっとも基本的な解決策となります。

     しかし、この場合には、あまり自分の出資額が少ないと経営権に関する問題も生ずるので、定
     款で自分の権利割合を増やすなどの対策をしておく必要があります。



     ② 現物出資を併用する。

     冒頭でもご紹介したように、会社の設立時に資本金とすることができるのは、金銭だけではあ
     りません。
     それまで個人が使っていた自動車や、その他の財産などを出資の目的とすることも可能です。 

     このような出資の方法が「現物出資」です。

     この方法を利用すれば、手持ち資金に加えてさらに自己資金を大きくすることができます。

     その詳しい手続きについてはここでは省きますが、現物出資を利用した場合の融資審査のポイ
     ントは以下のようになります。

    ・ 設立時の定款にキチンと現物出資の内容が記載されているか?

    ・ 現物出資の評価は、時価相場と同じ額になっているか?

     ・ 現物出資だけでなく、すぐに使える手元資金も用意できているか?

     なぜ最後のポイントが必要になるかといえば、現物出資による財産は対外的な支払いには利用
     できないものだからです。

     したがって、事業計画上はこれがなくとも手元資金だけである程度の経営がまかなえる(資金
     が回せる)内容となっていることが必要であることを意味します。


     ③ 事業開始前に支払った費用を自己資金とする(「みなし自己資金」の活用)

     ②の方法は、手っ取り早く自己資金を増やすにはいい方法なのですが、会社の設立時でないと
     余計な登記費用がかかる、中古品が出資の対象となるので大きな金額になりにくい、個人事業
     の場合には使えないなどの制約があります。

     そこで、自己資金を増やす最後の手段が「みなし自己資金」の活用です。

     このみなし自己資金とは何かといえば、
     「あなたが融資の申し込み前までに事業のために使った費用がある場合には、これも
      自己資金として認めましょう。」
     
というものです。

     これには、事業の開始を見込んで支払った原材料の代金やHPの作成料などの外、テナントの
     契約にかかった手付金や、先行して行った内外装の費用などが該当します。

     ただし、どういうわけだか、会社の設立にかかった費用(定款認証代、印紙代、登録免許税、
     専門家に対する報酬)については、自己資金としてみてもらえないので注意が必要です。


     なので、よく
     「せっかくお金を貯めてきましたが、やむをえず事業の経費を前払いしてしま ったので、通
      帳の残高が当初よりだいぶ減ってしまいました。このままだと(つまりは、残高が減った状態
      だと)、予定していた額の融資が受けられなくなってしまうのでは?」
     というご質問をいただきますが、これらの先に支払った費用はみなし自己資金として認めても
     らえるので大丈夫ということになります。

      例

    Q  1ケ月前の自己資金額  500万円

     ↓  事前に事業に関する経費を300万円支払った

         現在の自己資金の残高  200万円

         この場合、申し込める金額の上限も200万円×2=400万円になってしまのでは?

        自己資金は、現在の残高200万円+事前に支払った経費300万円(これがみなし自己
         資金)=500万円としてカウントできます。

             したがって、申し込める金額の上限は当初と同じく500万円×2=1,000万円となり
         ます。


     しかし、いくら事前に支払ったものが自己資金として認められるといっても、これをキチンと
     自己資金として認めてもらうためには支払ったものについての領収書が必要となります。

     また、もし、領収書の出ないものがあるような場合には支払った日付と金額と用途を記録して
     おく必要があります。

     このように、自己資金はやり方によっては合法的に増やすことができます。

     しかし、以上は日本政策金融公庫の融資を想定した場合の話であって、信用保証協会の保証
     付き融資(制度融資)では、自己資金として認められる支出のタイミングや範囲が異な
     る
ので、注意してください。




                         

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