もし、あなたやあなたの会社が融資を受けられないとしたら、どうしますか?
金融機関や信用保証協会では、政策的または倫理的な理由から一部の業種や、一定の事由に該当する企業に対しては、融資をしないことになっています。
こういうと、たいていの方は「自分には関係ないこと」と思っていますが、実際に融資を申し込んだときになって融資を受けられないことに気づくというパターンも少なくありません。
なのでここでは、少しでも早く対策が打てるよう、融資を受けられないケースをご紹介しますので、自分に該当するものがないかをご確認ください。
融資を受けられない3つのケース
日本政策金融公庫や信用保証協会を利用する場合には、一定の条件があり、これに該当する方だけが融資や保証を受けることができます。
この条件には、例えば、次のようなものがこれにあたります。
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方で、税務申告をしていない場合には創業費用の1/10以上の自己資金のある方
【新規開業資金】
新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
【 女性、若者/シニア起業家支援資金】
女性または35歳未満~55歳以上の方であって、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方
しかし、これら以外にも融資・保証を受けられない場合があります。
それは
◆ 「保証対象外業種」に該当。
◆「 内容により融資・保証が受けられない事業」に該当
のいずれかに該当する場合です。
前者は個別の融資ごとに定められた条件ですが、これに対し、後者はいずれかに該当する場合にはすべての融資・保証が受けられなくといった点に違いがあります。
融資・保証を受けられない業種とは?
「融資」を受けられない業種(日本政策金融公庫)
通常の中小企業は、そのほとんどが日本政策金融公庫から融資を受けることができます。
しかし、政策的な理由から一部の業種については融資を受けることができません。
このような業種を「融資対象外業種」といいます。
日本政策金融公庫の「融資対象外業種」の例
・銀行業
・協同組織金融業
・貸金業、クレジットカード業等
・補助的金融業
・金融商品取引業、損害保険業等
2 ソープランド業
3 娯楽業のうち次のもの
・競輪、競馬等
・パチンコホール
・場外馬券売場、場外車券売場
4 その他の事業サービス業官憲
・取立業、集金業(公共料金を除く。)
5 社会保険・社会福祉・介護事業関連
・社会保険事業団体
・福祉事務所
・更正保護事業
6 政治、経済、文化団体
7 郵政局/郵便業
通常、この中でも多いのが、金融業とパチンコ業です。
特に金融業については、金融商品取引法の第一種や第二種の免許を取得して「金融商品の取り扱い」などの登記している場合には、融資が受けられなくなる場合がありますのでご注意ください。
「保証」を受けられない業種(信用保証協会)
通常の中小企業は、日本政策金融公庫の場合と同じく、信用保証協会から保証を受けることができますが、一部の業種については保証を受けることができません。
このような業種を「保証対象外業種」といいます。
信用保証協会による保証が受けられない業種の例
(一部の業種を除く)
◆ 金融、保険業
(生命・損害保険代理業等を除く)
◆ 風俗関連の事業
(一部のものを除く)
◆ アダルト関連のネットサービス
◆ ソープランド
◆ 風俗関連の娯楽業
◆ モーテル、ラブホテル
◆ 性風俗のインターネット配信業
◆ パチンコ、スロット、射的、競輪、
競馬業、ビンゴゲーム)
◆ 芸妓業(置き屋、見番を除く)
◆ 易断、観相業
◆ 相場案内業
◆ 興信所業
◆ 集金業・取立業
◆ 学校法人が経営する学校
◆ 宗教・政治・経済・文化団体その他
の非営利事業及び団体
◆ LLP(有限責任事業組合)
信用保証協会の方が、日本政策金融公庫よりも対象外とされる業種の範囲が広くなっています。
そのため、スナックなどについては日本政策金融公庫ではOKでも、信用保証協会ではNGとされるところがほとんどとなっています。(一部の県、市町村を除く)
※ こちらから電話できます。
内容によって融資・保証が受けられない事業
事業には、業種による規制とは別に、その内容に問題があるとして融資や保証を受けられない場合があります。
これには、次のような事業が該当します。
融資を受けられない事業(日本政策金融公庫)
2 公序良俗に反するなど社会的に批判を受けるおそれのあるもの
3 一時的または投機的なもの
4 単に社会福祉または慈善等を目的とするもの
1については、高級スナックやクラブなどといった、一般的なものよりも高額な料金の設定をしているものが、2については、風俗営業や法スレスレのグレーな事業などがそれぞれ該当します。
また、3の一時的なものとは、1~数回ほどで完了してしまう短期の事業などがこれに該当します。
なお、4の社会福祉または慈善等を目的とするものは、これらの事業は利益を目的としていないため、利益から返済を受ける融資の対象とならないこととなります。
保証を受けられない事業(信用保証協会)
※ 求償債務を弁済後でも、原則として6ケ月を経過していない場合を含む
◆ 信用保証協会に対して、保証人としての保証債務を負っている場合
◆ 銀行取引停止処分を受けている場合
※ 1回目の不渡りから6ケ月を経過していない場合を含む
※ 法人代表者が銀行取引停止処分を受けている場合は、原則、その法人も保証を受けられなくなります。
◆ 破産、民事再生、会社更生法等の手続き中の場合または、私的整理手続き中である場合
◆ 最後の登記から12年以上を経過した株式会社で、休眠会社としてみなし解散登記されている場合
◆ 信用保証協会の保証付融資または金融機関の融資について延滞がある場合
◆ 確定申告をしていない場合
◆ その他として、
・ 粉飾決算や融通手形を行っている
・ 税金を滞納し、完済の見通しがない
・事業実態や資金使途、返済能力などを判断するための資料がない」などの場合
NPOについては日本政策金融公庫の融資と信用保証協会の保証のいずれも受けることができますが、LLP(有限責任事業組合)については信用保証協会の保証が受けられない事業となります。
まとめ
以上をまとめると次の通りとなります。
◆ 業種により、融資や保証をうけられないケースは、日本政策金融公庫と信用保証協会とで内容が異なる。
◆ 投機的な事業や反社会的な事業の場合には、ほとんどのケースで融資・保証をうけられない。
これらについては、自分でも気づかないうちにいずれかに該当してしまっている場合もありますので、ご注意ください。
なお、日本政策金融公庫の融資に失敗しやすいケースや対策については、「日本政策金。融公庫に融資が断られた原因はこれだ」の記事で詳しく解説していますので、こちらもご参照ください。
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