創業計画を作る際にいきなり計画を作り出してしまう方がいますが、これはやめた方がいいです。
なぜなら、先に全体のスケジュール表を作っておかないと、途中でやたらと許可の取得に時間がかかってしまったり、またはその反対に必要な時間が取れなくなってしまったりするからです。
また、スケジュール表は融資審査にも大きく役立ちます。
ここでは、融資向けのスケジュール表の作り方から注意しなければならない点について解説いたします。
創業融資におけるスケジュールの重要性
なぜスケジュール表が必要なのか?
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や信用保証協会の「制度融資」を申し込む際に、他の人と大きく差をつけられる部分があります。
それは「スケジュール表の作成・提出」です。
いずれの融資でもこれは必要資料として求められていないためか、これを作って申込みをするという方はあまり多くありません。
しかし、金融機関の担当者からすれば、いくら丁寧に書かれている事業計画書であっても、文字だけではわかりにくいし、開業までの流れを時系列で表すのにはスケジュール表が最適だからです。
特に、店舗の施工と許可の取得といった、異なる内容の行程が複数ある場合などは、このスケジュール表がなければ全体像をつかむことができません。
また、事業計画書の作成に慣れていない方については、これを先に作っておかないと「自分は次に何をすべきだっけ?」と迷子になってしまい効率もよくありません。
つい後回しにしがちですが、スケジュールは計画の羅針盤である同時に、審査においても重要なファクターとなります。
スケジュールの作り方の手順
スケジュールの作成をするには、ただ闇くもに取り掛かればいいというわけではありません。
飲食店の場合、スケジュールの作成には大きく分けて5つの工程があります。
これらをうまく組み合わせ、調整することでバランスのとれたスケジュールを作ることができます。
スケジュールの作成に必要な工程
➁ テナントの工事に関する工程
③ 許認可に関する工程
④ 人材に関する工程
➄ その他の工程
テナントの賃貸に関する工程
テナントを借りて営業する場合には、大家との賃貸借の契約が必要となります。
通常、テナントを借りる場合には、
➀ 先に手付金の支払いなどをして、融資が出た後に正式な賃貸借契約を交わすパターン
➁ 先に契約費用を支払って賃貸借契約を結ぶパターン
の2通りがあります。
しかし、一般的には手付だけで融資がでるまでの期間を待ってもらえることは少ないことから、➁のパターンによることが多いと思います。
この場合には初めの時点で契約が完了してしまうため特にその後の手続きは必要ありませんが、➀のパターンによる場合には、手付金の支払い → 契約の締結 → 物件の引き渡し → 残金の支払いと作業が分かれるため、それぞれの時期を予想して工程に組み込む必要があります。
※ 参照:飲食店の店舗の選び方。融資審査に必須のポイントは?
テナントの工事に関する工程
賃貸借契約の締結ができたときには、テナントの内装工事に着手できるようになるので、その工程を計画に落とし込みます。
工事の工程は施工業者の方とよく打ち合わせて工事スケジュールをよく確認してください。
また、手付金や中間金を支払う必要がある場合には、それも工程に入れておく必要があります。
なお、飲食店の場合には、工事の施工がある程度できた後でないと保健所の検査ができないため、両者をすり合わせておく必要があります。
許認可に関する工程
飲食店の営業では、保健所の営業許可の他、衛生管理責任者の資格取得、また、営業の種類によっては深夜酒類提供の届け出(警察)などが必要となります。
それぞれについて取得の時間や取得の時期が異なるため、オープンに間に合うよう計画を立てる必要があります。
許可等の種別 | 提出先等 | 取得に要する期間 | 提出期限 |
営業許可 | 保健所 | 7~10日 | 工事完成予定日の10日くらい前 |
衛生管理責任者 | 講習で取得 | 即日 | - |
深夜営業の届出 | 警察 | 即日 ※ | 営業の開始10日以上前 |
※ 但し、申請書類の内容に問題がある場合には、再提出となります。
なお、法人を設立して営業する場合には、この他に法務局への「会社設立登記手続き」(手続き期間は2週間程度)が必要となります。
人材に関する工程
社員以外にパートやアルバイトなどの従業員を雇う場合には、オープンまでに採用~トレーニングを含めて間に合うようにしなければなりません。
したがって、人材については次のようなスケジュールを組んでおく必要があります。
〇 採 用
〇 トレーニング
その他の工程
その他の工程としては、以下のようなものを準備しておく必要があります。
〇 皿や食材その他の備品の手配
〇 看板の作成、取り付け
〇 メニューの作成
〇 チラシ、HPの作成
〇 ユニフォームのデザイン、発注 等
許可とその他の手続きの関係
飲食店のオープンのためには、許可とその他の手続きの連携が非常に重要となります。
なぜなら、許可が取れないと営業ができなくなるだけでなく、融資にも影響するからです。
特に注意をしなければならないのが、「営業許可と工事」との関係です。
保健所の営業許可は、最低でも電気、水道、厨房施設、衛生設備が指定の日までにできあがっていないと検査ができません。
※ 参照:飲食店の営業許可を一発で取る!申請・書き方マニュアル
深夜酒類の営業の届け出には、部屋全体について実測をした図面が必要となるため、壁面や床、カウンターなどについてもそれぞれが仕上がっている必要があります。
また、この届出をするために、保健所の営業許可を提出する必要があります。
なので、必然的にこの届出より保健所の営業許可を取得しておかなければならないので、この点も含めスケジュール作成には注意してください。
際のスケジュールの工程について
このようなポイントに注意した飲食店のオープンまでのスケジュールの例としては、以下のようになります。
営業開始までの作業スケジュールの例
◆「法人設立届け」 2011年2月2日
◆「テナント賃貸契約締結」 2011年2月3日
※ 同日に保証金の一部○○円と契約費用○○円を支払い。(自己資金から充当)
◆「融資申請予定」 2011年2月5日
◆「改装工事開始」 2011年2月15日
※ 同日に工事代金のうち○○円を支払い。(自己資金から充当)
◆「保健所検査予定」 2011年3月15日
◆「同上検査取得予定」 2011年3月22日
◆「融資実行予定」 2011年3月30日
◆「改装工事終了予定」 2011年4月5日
※ 同日に工事代金の残金○○円を支払い。(融資から充当予定)
◆「物品購入予定」 2011年4月10日
※ 物品購入費として○○円を支払い。(融資から充当予定)
◆「アルバイト訓練開始」 2011年4月12日(5日間)
◆「オープン予定」 2011年4月20日
なお、このスケジュールを見ていただいてわかるように、融資用のスケジュールには単に作業の工程を入れるだけでなく、その時々でかかる経費を入れておくことが重要となります。
この経費はすべて収支計算の際に実費(自分の手持ちの預金から支払う分)と予算(融資のお金で賄う分)とに分けてそれぞれを計上する必要がありますので、見落としがないように注意してください。
※ 参照:最新の実例見本で解説! 飲食店創業融資のための事業計画書(創業計画書)の作成
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