皆さん、創業者の方でもコロナ対策融資を利用できるということはご存知でしょうか?
創業者の方の中には、「うちは創業したばかりだから」と言って、融資を受けることを諦めている方もいると思います。
しかし、一部の制約はありますが、開業後3ヶ月を経過している方であれば、問題なく融資を受けることができます。
コロナ対策融資は、創業融資よりも断然融資が出やすい傾向がありますので、この記事を参考にして、ぜひ融資にトライしてください。
ここでは、このコロナ対策融資の特徴や使いかたの他、新創業融資制度や自己資金との関係についてご説明します。
創業者のためのコロナ対策融資
創業者がコロナ対策融資を申し込むには?
企業や創業者が、新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下、「コロナ対策融資」という)を申し込む場合には、次のことが要件となります。
通常の企業の場合
「最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少していること」 |
創業者の場合
業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少していること |
(1)過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高 (2)令和元年12月の売上高 (3)令和元年10月から12月の平均売上高 |
つまり、赤下線の要件を満たせる創業者の方は、最近1ヶ月の売上高が黄下線の3つのいずれかと比較して5%以上減少していれば、この融資が利用できます。なお、(1)~(3)の要件はどれを使っても構いません。
たとえば、現在が令和2年9月だとした場合、
(1)の条件によるときは、8月分と、6~8月の3ヶ月の売上高の平均額を比較したもの
(2)の条件によるときには、8月分と、令和元年12月の売上高を比較したもの
(3)の条件によるときには、8月分と、令和元年10~12月の売上高の平均額を比較したもの
ということになります。
申し込みの必要書類
コロナ対策融資の必要書類は、以下の通りとなります。
個人事業
① 借入申込書 |
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② 売上減少の申告書 |
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③ 最近2期分の確定申告書のコピー(勘定科目明細書を含む) |
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④ 見積書(設備資金を申し込む場合) |
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現在取引がない方 |
⑤ 法人の履歴事項全部証明書(原本) |
⑥ 商売の概要をまとめたもの | |
⑦ 代表者の運転免許証(両面)またはパスポートのコピー | |
⑧ 許認可証のコピー(許可等が必要な事業の場合) |
法 人
① 借入申込書 |
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② 売上減少の申告書 |
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③ 最近2期分の決算書のコピー(勘定科目明細書を含む) |
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④ 見積書(設備資金を申し込む場合) |
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現在お取引がない方 |
⑤ 法人の履歴事項全部証明書(原本) |
⑥ 商売の概要をまとめたもの | |
⑦ 代表者の運転免許証(両面)またはパスポートのコピー | |
⑧ 許認可証のコピー(許可等が必要な事業の場合) |
以上の書類は、申込みに必ず必要なものとなりますが、これ以外にも以下のような資料を準備しておくと審査や面談がスムーズになります。
■ テナントの場合は、賃貸契約書のコピー
■ 会社の通帳の原本
■ 直近の月までの試算表
■ 企業のホームページがあるときは、その写し
■ 事業計画書
コロナ対策融資と新創業融資制度のどちらを選ぶか?
2つの融資の基準について
一部の創業者の方については、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」と「コロナ対策融資」の両方の申込み要件を満たせる場合があります。
新創業融資制度の主な要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方 | |
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の「自己資金」があること |
コロナ対策融資の主な要件
業歴3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合等は、最近1ヵ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少していること |
例えば、創業後6ヶ月目の方については、自己資金があれば新創業融資制度の要件が満たせますし、また、売り上げが5%以上減少していれば、コロナ対策融資の要件にも該当することになります。
このような場合、この人はどちらの融資を利用できるのでしょう?
また、どちらを使うべきという、何かの判断基準があるのでしょうか?
さらに、新型コロナ融資を利用する場合、自己資金は必要となるのでしょうか?
日本政策金融公庫の考えはこうだ!
この3点について日本政策金融公庫渋谷支店に確認したところ、次のような回答がありました。
日本政策金融公庫からの回答
➀ このようなケースの場合、どちらの融資が利用できるか?
要件を満たせていれば、どちらの融資も利用できるとのことです。
➁ その場合、どちらを使うべきなのか?
両方の融資の条件を満たしている場合、どちらに申し込めるかについては、その申込みの内容が「創業の経費に関して必要な資金なのか?」、それとも「コロナの影響で資金繰りが苦しくなっているため必要な資金なのか?」によって、決まるとのことです。
なので、これについては、借入れの目的がどちらによるのか?ということになります。
➂ コロナ対策資金の場合にも、自己資金は必要になるのか?
コロナ対策資金を申し込む場合にも、創業者については新創業融資制度で求められているような1/10以上の自己資金が必要になるのかを聞いてみました。
これについては、コロナ対策資金を申し込む場合には、自己資金の条件は必要ないとの回答がありました。しかし、ここからが少しわかりにくいのですが、その場合、自己資金の要件は不要となるものの、自己資金の額の多い少ないは、コロナ対策融資の審査でも考慮されるとのことです。
これはどういうことかといえば、仮に500万円を借りようとした場合、新創業融資制度を利用するのであれば、最低でも50万円以上の自己資金が必要となります。
※この場合、売り上げの5%以上の減少の要件は満たしているものとします。
なので、自己資金が30万円しかない方は新創業融資制度への申込みはできませんが、その場合でもコロナ対策融資への申込みはできることになります。けれどコロナ対策融資の審査をするときに、自己資金があまり少ないとそれが審査の上でのハンデになる可能性があるというわけです。
つまり、コロナ対策融資の場合、自己資金は要件ではないが、やはりある程度の資金がある方が審査には有利になるということです。
とはいえ普通に考えれば、コロナ対策融資の方が申込みの条件が緩く、自己資金の最低額の要件がない、そして場合によっては利子の補給も受けられるのですので、両方の融資の条件を満たせるのであれば、あえて新創業融資制度を選ぶメリットは少ないでしょう。
したがって、創業者の方があえて、新創業融資制度を選ぶのは、「3ヶ月以上経過していない」とか、「売上げが5%以上下がっていない」といった場合に限られると思います。
金利と利子の補助について
このコロナ対策融資では、一定の要件を満たせる方については、利子の割引または利子の補給、もしくはその両方の適用を受けることができます。
詳しくは、「最令和3年版。コロナ特別融資の概要と改正点」の記事をご参照ください。
コロナ対策融資に事業計画書をつけるべきか?
日本政策金融公庫の案内によれば、コロナ対策融資の申込みには事業計画書をつける必要はなく、その代わりにはじめて日本政策金融公庫を利用する方については、「商売の概要書」をつけることになっています。
※ コロナ対策融資の提出書類
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_info_a.pdf
では、本当に事業計画書は、不要なのでしょうか?
提出書類の中の「ご商売の概要」という資料をご覧ください
これは、はじめて日本政策金融公庫を利用する方が、現在の事業の内容を報告するために提出するものなのですが、その中身は非常にあっさりしたものです。
用紙のサイズもA4用紙1枚しかないため、記入できるスペースもほとんどありません。
これでは、これまでの事業の経過や、今後の方針、事業に対する思いといった、伝えるべきことが何も伝わりません。
また、公庫では、創業融資の申込みについても、これと同じような簡単な事業計画書のひな型を用意しているのですが、この通りに書いて希望する融資が受けられている方は稀です。
さらに、融資の実務においても、このまま提出した方と、シッカリした事業計画書を作った方とでは、結果や出た額に違いがでています。
つまり、表面的には簡単な概要書しか求められてはいませんが、事業計画書を出さなければ、結局、その後の面談やヒアリングで苦しむことになるわけですので、公庫の提出書類にないからといって事業計画書を提出しないのは、大きなリスクの元になるといえます。
なお、中には「事業計画書が必要書類になっていないから、提出はしない方がよいのでは?」と心配される方もいます。
しかし、提出したものを突き返されることはありませんし、提出された計画はそのまま融資の審査の資料となりますので、シッカリと計画をした上で事業計画書を提出することをお勧めします。
まとめ
以上のようにコロナ対策融資は、創業者であっても利用することができます。
また、このコロナ対策融資は、通常の創業融資よりもゆるい審査でお金が出る可能性が高いので、要件にあう創業者の方はぜひ、チャレンジしてみてください。
なお、119番資金調達NETでは、随時、初回の相談無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。
※ こちらから電話できます。