信用保証協会では、令和3年4月1日より、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業者の方を対象に、資金繰りをサポートするため、金融機関と協調して保証をする新しいタイプの制度「伴走支援型特別保証制度」開始しました。
これによりこれまでセーフティ4号、5号及び危機管理保証はすべてこの制度に一本化されることになります。
ここでは、この制度の具体的な内容と特徴についてご説明いたします。
「伴走支援型特別保証制度」の5つの大きな特徴
令和3年4月1日より、「伴走支援型特別保証制度」(全国)が開始されました。
「伴走支援型特別保証制度」には、通常型の「伴走全国」と「伴走対応」の2種類があります。
前者は、一定の要件を満たせる方が利用できるのに対し、後者は上記「伴走全国」を利用している事業者のみが利用できる追加の制度となります。
「伴走支援型特別保証制度」には、以下の5つの大きな特徴があります。
➁ 経営行動計画書を作成・提出し、経営について金融機関の協力(伴走)を求めることが必要。
③ 金融機関は、原則として5事業年度にわたり、四半期毎にフォローアップを実施。
④ 保証料率は0.85%のうち0.65%を国が負担。(本人の実質負担0.2%)
⑤ この制度の実施により、これまでのセーフティネット4号、5号、危機管理保証は廃止。
制度の対象者
この制度の対象者は、新型コロナウイルス感染症の影響により、15%以上の売上げが低下した中小企業者となります。
これまでは
〇 セーフティネット4号-「20%以上の減少」
〇 セーフティネット5号-「5%以上の減少」
〇 危機管理保証-「15%以上の減少」
がそれぞれの要件とされていました。
したがって、4号の要件よりはやや緩やかとなりますが、5号と比較すると10%以上要件が厳しくなることとなります。
金融機関へ経営行動計画書の作成・提出が必要
今回の伴走支援保証制度では、融資申し込みの際に経営行動計画書の提出が求められます。
これまで、制度融資では創業融資や一部の特別なものを除き、事業計画書の作成・提出までは求められず、借入申込書や信用保証承諾書などを提出すればOKでした。
しかし、この制度では次の様式による経営行動計画書を提出する必要があります。
金融機関の協力が必要
これまでの信用保証協会の制度融資では、金融機関との協調が必要というタイプのものはほぼありませんでした。
そのため、融資の審査の条件が多少厳しくとも、審査に合格して融資が出てしまえば、それで終わりだったわけです。
しかし、今回の伴走支援制度では、融資が出た後5年間の間、四半期毎に金融機関のフォローを受けることが条件となっているため、その後の事業進捗などについて定期的な報告が必要となります。
信用保証料の一部負担
この制度を利用した場合には、本来、0.85%の負担が必要なところ、そのうち0.65%を国が負担が負担するため本人の実質負担は0.2%となります。
セーフティネット保証、危機管理保証の廃止
伴走支援保証制度が創設されたことにより、これまでのセーフティネット4号、5号保証、危機管理保証などの一部の保証制度が統合され、廃止となりました。
これによりセーフティネット4号、5号の制度そのものがなくなったわけではありませんが、これを利用した保証制度がなくなったということになります。
そのため、今までに比べて選択肢の幅が狭まったといえます。
なお、危機管理保証については、信用信用保証協会から次のようなアナウンスがされています。
「伴走支援型特別保証制度」の概要
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響により売上が 15%以上減少している事業者 ただし、市区町村から以下のいずれかの認定を受け、経営行動計画書を作成・提出する必要あり。 ① セーフティネット保証4号(売上減少率- 20%以上が必要) ➁ セーフティネット保証5号(売上減少率-15%以上が必要) ③ 危機関連保証(売上高率-15%以上が必要) なお、原則、5事業年度の間、四半期ごとに金融機関への定期報告が必要 |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
融資限度額 | 4,000万円 |
保証期間 | 10 年以内(据置期間5年以内を含む) |
金 利 | 金融機関所定利率 |
信用保証料 | 0.2%(国による補助前は0.85%) |
保証割合 | 認定が4号・危機関連による場合-100%の保証割合 認定が5号による場合-80%の保証割合 |
担保・保証 | 担保不要。法人については代表者の連帯保証が必要。 |
■ セーフティネット保証 4 号及び危機関連保証については、新型コロナウイルス感染症に関する認定のものに限ります。
■ セーフティネット保証 5 号に関しては、本来、5%維持用の売上高の減少があれば取得できますが、この制度を利用する場合には減少率15%以上が必要となります。
■ セーフティネット保証等の取得は自分で行うこともできますが、この制度の申込みをした時に申込先の金融機関経由で取得することもできます。
この制度を利用する場合には、はじめに「経営行動計画書」を提出する必要がありますが、その特徴は■ ローカルベンチマーク(財務指標)
■ 技能承継
■ 利益率の改善
という3つの要素を使って作成する必要があるというところに、今までのものと大きな違いがあります。
①売上増加率 【計算式】=(売上高/前年度売上高)-1 ②営業利益率 【計算式】=営業利益/売上高 ③労働生産性 【計算式】=営業利益/従業員数 ④EBITDA 有利子負債倍率 【計算式】=(借入金-現預金)/(営業利益+減価償却費) ⑤営業運転資本回転期間 【計算式】=(売上債権+棚卸資産-買入債務)/月商 |
しかし、これらの指標は耳慣れないものも多く含まれているため、財務に詳しくない経営者の方は苦労されるかもしれません。
いずれせよ、簡単な条件を満たすだけで利用できた3つの制度がなくなり、金融機関のサポートが必要な今回の制度に変わったのは、経営者にとってかなり大きな負担となります。
119番資金調達NETでは、融資申請のサポートだけでなく、この「経営行動計画書」についてのサポートも行っているので、お気軽にご相談ください。
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