伴走支援型保証終了後の後継融資「経営力強化保証制度」とは?

伴走支援型保証終了後の後継融資「都経営力強化」とは? 信用保証協会

コロナ禍で中小企業を支援するゼロゼロ融資の穴埋めとして活用されてきた「伴走支援型特別保証制度」が令和6年6月をもって終了しました。

「伴走支援型特別保証制度」は、最大5年の元本据置期間や、借入時にかかる信用保証料を大幅に引き下げるなどの好条件で多くの方に利用されてきたため、この終了に伴い「これから先は何を使えばいいんだ?」とお悩みの方もいらっしゃると思います。

これに対応して、東京都では「伴走支援型特別保証制度」の後継となる融資制度、「経営力強化保証制度」融資を創設しました。

この記事では、この新たな融資制度となる「経営力強化保証制度」の内容や特徴について解説いたします。

東京都「経営力強化保証制度」融資の3つの大きな特徴

東京都「経営強化保証制度」融資の創設の経緯

国は、これまで実施されてきた伴走支援型特別保証制度を令和6年6月で終了させることを決定しました。

これに伴い、7月1日から金融機関をはじめとする支援機関が継続的に経営支援を行いながら、資金繰りを支援する信用保証制度が必要となりましたが、東京都はこれを受けて新たに創設したのが今回ご紹介する「都経営強化保証制度」融資(制度融資)となります。

「経営力強化保証制度」融資の3つの大きな特徴

「経営力強化保証制度」融資には次の3つの特徴があります。

1.感染症関連融資の借換えとして利用ができる
新規の融資だけでなく、下記の感染症関連融資の借換融資として利用することができます。
※1:令和元年度危機対応(感染症のみ)  ※2:令和元年度感染症対応 
※3:令和元年度感染症借換  ※4:令和2年度危機対応
※5:令和2年度感染症対応  ※5:令和2年度感染症借換 
※6:令和2年度感染症全国  ※7:令和3年度以降の伴走全国・伴走対応

2.支援機関のサポートを受けながら経営改善を促進できる
金融機関など国の認定を受けた支援機関により、事業計画の策定と実行の後押しをサポートしてもらえるため、間違った経営判断をするリスクが少なくなります。

3.信用保証料の引き下げと部分補助がされる
「経営強化保証制度」では、概ね0.2%程度引き下げた信用保証料が適用されます。
また、信用保証料の2分の1を東京都が補助します。

「経営力強化保証制度」融資の概要

「経営力強化保証制度」融資の制度の概要は、以下の通りです。

対象者金融機関と認定経営革新等支援機関の支援を受けつつ、自ら事業計画の策定並びに計画の行動及び進捗の報告を行う方
資金使途運転資金・設備資金
融資限度企業 2億8,000万円  組合 4億8,000万円
融資期間
運転 5年以内(据置期間 1年以内を含む)
設備 7年以内(据置期間 1年以内を含む)
一括返済の場合、1年以内
※本制度によって保証付きの既往借入を借り換える場合は10年以内
融資利率1.7%以内~2.2%以内
信用保証料一般関係にかかる保証については、借入金額に対し、0.30%から1.75%。
ただし、申込時の信用力に対応した保証料率よりも一区分低い料率を適用
保証人必要となる場合がある
物的担保必要に応じて
保証料補助  小規模企業者については2分の1を補助

「経営強化」融資の必要書類

「経営強化保証制度」融資の申し込みには、以下の書類が必要となります。

【法人の場合】
・信用保証委託申込書
・信用保証委託契約書
・個人情報の取扱いに関する同意書
・印鑑証明書(申込人及び連帯保証人のもの)
・登記事項証明書
・確定申告書(決算書)の写し(原則直近2期分)
・法人税又は事業税の納税の確認ができる書類
・見積書又は契約書の写し(設備資金の場合のみ必要)
・事業行動計画書
・「経営力強化保証」申込人資格要件等届出書
【個人の場合】
・信用保証委託契約書
・個人情報の取扱いに関する同意書
・印鑑証明書(申込人のもの)
・所得税の確定申告書の写し(原則直近2期分)
・所得税又は事業税の納税の確認ができる書類
・見積書又は契約書の写し(設備資金の場合のみ必要)
・事業行動計画書
・「経営力強化保証」申込人資格要件等届出書

金融機関へ事業行動計画書等の作成・提出が必要

「経営強化保証制度」融資では、融資申込時に経営行動計画書の作成・提出が求められます。

通常の都制度融資では創業融資や一部の特別なものを除き、事業計画書の作成・提出までは求められず、借入申込書や信用保証契約書などを提出すればOKでした。

しかし、この制度では次の様式による「経営行動計画書」と「申込人資格要件等届出書」を提出する必要があります。

また、それぞれの書類では以下の項目を記入します。 

「経営行動計画書」
・事業者名簿  ・現状認識 ・財務分析 ・計画終了時点における将来目標(5年分)
・具体的なアクションプラン(5年分) ※書式はこちら

「申込人資格要件等届出書」
・認定経営革新等支援機関名 ・融資金融機関(支店名)
・ 申込金額及び資金使途 千円 ( 運転・設備 )
・ 事業行動計画書における申込資金の位置付け ※書式はこちら

認定経営革新等支援機関の協力が必要

「経営強化保証制度」融資の申し込みには、認定経営革新等支援機関の協力が必要となります。

認定経営革新等支援機関とは、専門的知識を有し、一定の実務経験を持つ支援機関等(税理士、公認会計士、弁護士など)を国が審査し、経営革新等支援機関として認定したものです。

知り合いに認定経営革新等支援機関がいない場合には、認定経営革新等支援検索システムから、選択することができます。

定期的な金融機関への報告が必要

「経営強化保証制度」融資を利用した場合には、原則として四半期に1回、計画の実行状況等を金融機関へ報告する必要があります。

まとめ

「経営強化保証制度」融資は、これまでの 「伴走支援型特別保証制度」が令和6年6月をもって終了したことに伴い、その後継として創設された東京都制度制度の一つです

以前に感染症関連融資を利用し、その残債が残っている方はその借換融資としても利用できるだけでなく、支援機関のサポートを受けながら経営ができる、信用保証料の引き下げと部分補助がされるなどのメリットが得られます。

中長期の経営計画の作成を専門家にお願いしたいと考えている方には、とくにお勧めできる制度といえます。

119番資金調達NETでは、融資申請のサポートだけでなく、「経営行動計画書」作成についてのサポート(有料)も行っているので、お気軽にご相談ください。

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プロフィール
融資コンサル
引地 修一

119番資金調達NETの代表引地です。
創業者・中小企業経営者の方向けに、 融資の申込みや事業計画書の作成計画・経営の改善などのサポートをしています。これらに関するご質問であればたぶん90%くらいの確率で、回答できると思いますので、お気軽にご相談ください。

【主な経歴】
・2005年Ichigo(一期)行政書士事務所を開設。
・2008 「確実に公的創業融資を引き出す本」を出版。※6刷増刷中
・2008 ドリームゲート「資金調達部門」最優秀アドバイザーを受賞
・2011 「銀行格付けアップ術」出版
・2014 「飲食開業のための公的融資獲得完全マニュアル」
・2021現在、累計相談者数2,000人を突破。

【持っている資格】
行政書士、宅地建物取引主任、事業再生アドバイザー、品川区武蔵小山創業支援センター公認アドバイザー

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