これからスナツクの開業資金を融資で何とかしたいとお考えの方は、ひとつ知っておくべきことがあります。
それは「スナックの開業資金を借りられる公的融資は、日本政策金融公庫だけ」ということです。
そのため、安易な考えや不十分な計画で申し込み、「融資が出なかった」、「大幅に減額された」となった場合には、次の借り先がないということになります。
とくにスナックは、通常の飲食店と異なり、金融機関からグレーにみられている部分も少なくないため、しっかりとした事業計画書を提示して、金融機関の理解を得ることが不可欠となります。
ここでは、スナック開業資金融資の特殊性と対策について解説いたします。
スナックでは、ほぼ信用保証協会融資が使えない
居酒屋とスナックの開業融資の違い
居酒屋とスナックを比較した場合、どちらも飲食店という業種のカテゴリーに該当し、食事やお酒を提供するという点では同じといえます。
しかし、居酒屋が主に食事をメインに提供するのに対し、スナックでは食事の提供はあくまで副次的なものであり、そのメインはお酒と店員との会話やサービスという点に大きな違いがあります。
そのため、実際の営業は、キャバクラなどの風俗営業店とかなり近い性質があり、そのため公的金融機関の融資スタンスも、通常とは異なるものとなっています。
その最も大きな違いが「スナックの営業については、原則として、信用保証協会の保証が受けられない」ということです。
信用保証協会とは、創業者や中小企業が融資を利用する際に、公的な保証人となってくれる機関であり、これを利用するには
① 市中の金融機関から融資を受ける際に、保証人の代わりとして信用保証協会を利用する
② 制度融資を利用する
の2つの方法があります。
①についてはだいたいイメージできると思いますが、実際の活用シーンとしては、②の制度融資の際に利用するというケースがほとんどとなっています。
ここで制度融資をご存知ない方のために簡単に説明すると、制度融資とは、創業者や中小企業といった自力では十分な融資を受けることが難しい方を対象とした、融資を利用しやすくするための仕組みです。
具体的には
① 都道府県や市町村といった自治体が制度融資を企画・設計する
② 金融機関が制度の内容にあった条件で融資をする
③ 信用保証協会が公的な保証人となって、借主の信用を保証する
となります。
このように制度融資では、3つの機関がそれぞれの役割を持ちますが、実際の融資手続きでは別々に手続きをする必要はなく、通常は金融機関経由で申込みをするだけで行うことができます。※ただし、一部の自治体では、商工会議所などを経由する必要がある場合があります。
スナツク開業資金が、日本政策金融公庫しか利用できないわけ
このように居酒屋に限らず、一般的な飲食業では日本政策金融公庫の他に、この制度融資を利用することができます。
そのため、万が一、日本政策金融公庫の融資に失敗した場合でも、その次善策として制度融資を使って巻き返しを図るといったことが可能となります。
また、日本政策金融公庫か制度融資のどちらか一行からだけでは、希望額を借りるのが難しい場合も両方を併用するという使い方をすることもできます、
しかし、信用保証協会では、一部の業種について信用保証を行っていないため、この業種に該当する場合は制度融資も利用できません。
この信用保証を利用できない業種としては、風俗営業店、ラブホテルなどがありますが、多くの信用保証協会ではスナックもその対象業種となっています。
一方、日本政策金融公庫では、風俗営業店やラブホテルなどが融資の対象外とされているのは同じですが、スナックやガールズバーは融資の対象とされています。
この違いはスナックという業種の営業をどのようにとらえるかの違いにあるといえますが、前述のとおり、スナック営業にはキャバクラなどの風俗店とかなり近い形態や性質があるため、この点が信用保証協会の保証の対象外とされている理由と思われます。
このようにスナック営業の場合には制度融資が利用できないため、頼りになるのは日本政策金融公庫の融資のみとなります。
スナック開業では、ある程度の自己資金が必要
しかし、テナントを借りてスナックを開業する場合、問題が一つ生じます。
こればスナツクに限らないのですが、飲食店の開業では「テナント(物件)の取得費用を先に支払わなくてはないことが多い」ということです。
よい物件は希望者が多く、すぐに決めないと他に取られてしまう可能性があります。
しかし、通常、創業融資は申し込んでから資金が出るまで2ヶ月程度の時間がかかるため、この間にその物件を押さえておきたいと考えるのであれば、先に契約をしておく必要があります。
物件の取得には、3~6ヶ月分の保証金または敷金、礼金1ヶ月、仲介手数利用1ヶ月分、契約月分の家賃1ヶ月分の約6~9月分の資金が必要となります。
また、融資後すぐに営業を始めるには、開業までに保健所の営業許可を取得しておく必要がありますが、この許可は検査時に電気・水回りといった設備の利用ができることが条件となるため、それまでに内装工事をしておく必要があります。
さらに、工事費をすべて融資後の支払いにしてもらうことはできないでしょうから、工事費の何割かは着手時に支払う必要があります。
このように考えると融資前であっても、確実に物件を確保するためには、最低でも
「約6~9月分の契約時資金+工事着手金(ケースによってはそれ以上)」
の費用を賄えるだけの自己資金が必要ということになります。
ちなみに、日本政策金融公庫の融資の申込みをするときには、物件取得の契約までしていることは求められませんが、どの物件で営業するかが決まっている必要があります。
この資料としては不動産屋の見取り図でもよいのですが、融資申込後は他の物件に変更することはできません。
そのため、先に物件の契約をせずにこの見取り図だけで融資を申し込んだ場合、もし、その物件が他に決まってしまうと、融資を取り下げなければならなくなります。
これを防ぐ方法はあまりありませんが、大家さんに
・ 手付金だけで融資が出るまで、物件を押さえておくことはできないか
・ もし、それが難しい場合、融資が出るまでの家賃を支払うことを条件に、物件を押さえてもらうことはできないか
を相談してみましょう。
しかし、いずれの方法による場合も、正式な契約をするまでは内装工事や営業許可の手続きをすることはできないため、その分、OPENが遅くなることを覚悟しておく必要があります。
※1 制度融資を利用する場合には、申込先となる金融機関を先に決定していただきます。
※2 申込先の金融機関に出向いて、融資申込みの承諾をいただきます。
※3 事業計画書の修正の回数は無制限です。
※4 金融機関から聞かれることがよてぅされる質問について想定問答を行います。
※5 金融機関との面談はご自身で行っていただきます。
なお、融資サポート以外に許認可の手続きのご依頼をいただいた場合には、適宜、プランに合わせたスケジュールを作成させていただきます。
まとめ
スナックの開業資金については、他の飲食の場合と異なり、信用保証協会付融資(制度融資)を利用することができません。そのため、利用が可能な公的融資は日本政策金融公庫の一つだけとなります。
もし、日本政策金融公庫の融資に失敗してしまうと、それに代わる資金調達が難しくなってしまうので、融資申請にあたっては十分に注意し、質の高い事業計画書を作る必要があります。
119番資金調達NETでは、スナックの開業資金の融資申込や事業計画書の作成をお手伝いしています。
また、このブログではご紹介していないテクニックや注意点についても、直接、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
随時、初回の相談無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。