近年、会計事務所では、同業者の増加や営業の激化などにより、以前より顧客の獲得が難しくなっています。
そのため、中には「相当な経費を使っているのに、思うような効果が上がらない」、「何が正しい方法なのか迷っている」という事務所の方も少なくないと思います。
顧客が会計事務所を選ぶ際に最も重視するのは「満足感」です。
サービスの速さや料金のお得感ということも重要ですが、それだけでなく「この先生に頼んでよかった!」と思ってもらえるかどうかが事務所選びのカギといえます。
入口でどれだけの見込み客を集めるかはとても大切なことですが、この満足感を感じてもらえない場合には、いずれその顧客は離れて行ってしまう可能性が高いといえます。
つまり、会計事務所の集客では、安い料金やサービスで見込み客を集めるだけでなく、その後も関係を継続していくためのプロセスが不可欠といえます。
その際に重要なのが「集客の仕組み」です。
事務所のコンセプトに沿った正しい集客の仕組みがなければ、継続して集客することは困難となるだけでなく、集客事態もかなりぶれたものとなってしまいます。
そのためには、目先の顧客を捕まえることだけでなく、はじめの段階からシッカリと仕組みに沿った集客をするということが重要となります。
このコンテンツのシリーズでは、これまでのサポートの経験も踏まえて「どうすれば、よりよい仕組みを作れるか?」をメインのテーマとし、会計事務所の集客に役立つ方法や事例をご紹介します。
会計事務所の状況と今後の展開について
税理士数の傾向と原因について
国税庁の発表によれば、2020年の税理士合格者は五科目合格者数648人、科目合格者4,754、合計5,402人でした。これを10年間の推移でみてみると、以下のグラフの通りとなります。
このデータによれば、税理士試験の合格者数はここ10年の間では、2012年をピークに減少し、その後は微増→横ばいという形で推移していることがわかります。
一方、税理士の登録者数はといえば、下記のようになっています。
このグラフによれば、税理士の数は合格者の増減にかかわりなく、増え続けているのがおわかりいただけると思います。(日本税理士会連合会データより)
また、その数は他の士業と比較しても、頭一つ抜けているといってよいでしょう。
では、なぜこのような現象が起きているのでしょうか?
その原因としては
・「国税従事者の免除制度」により、税理士登録をする方が常に一定数いる。
・ 登録者予備軍となる、科目合格者の数が多い。
・ いったん登録すると、廃業する方が少ない。
などといった理由が考えられます。
また、今後については
◆ 企業数の減少
◆ 高性能・安価な会計ソフトの普及
◆ 事務所の世代交代による顧客数の減少
という状況も予想されます。
このような環境では、常に新規の顧客を獲っていかなければ、顧客の総数は減少してしまいます。そのために必要なのが「集客をするための仕組みづくり」です。
会計事務所が行うべき集客の手順
集客の種類と相互の関係
通常、会計事務所では、以上のような方法により集客をしているところが多いと思います。(SNSはHPに含むものとします)
それぞれの方法については一長一短がありますが、この中で一番先に行うべきなのが「アンケートの実施」と「HPデータの解析」です。
この2つは具体的な集客をする上で、非常に重要なポイントとなります。
まず、『アンケートの実施』は、これをすることで実際の顧客のニーズを把握できるとともに、現状の対策のずれや修正点を見つけることができるというメリットがあります。
よく、頭の中だけで、顧客のニーズを見つけようとして失敗するのは、ニーズは予想もしないところにあることが多いからです。また、ニーズはすべての方に一律ではなく、地域やターゲットの属性などにより変化します。
そのため、いくら頭で考えても、なかなかそれだけでは細かな部分を拾いだすことはできませんし、隠れたニーズを見つけることもできません。
しかし、丁寧にアンケートを取ることで、それまでの考え違いに気づいたり、思わぬところにあるニーズを見つける役に立ちます。
※ 具体的なアンケートの作り方はコチラ
そして、これと同じくらいに重要なのが、『ホームページの分析』です。
最近では、集客におけるホームページの位置づけがますます高まっており、どんな集客を行った場合でも、見込み客は必ずホームページを見てから相談や依頼をするかを決めています。
DMやチラシを配布した場合でも、いきなりそれらを見て連絡するのではなく、そこに記載されたアドレスからホームページを見て、「信用できそうか?」、「どんな事務所なのか?」などを確認して判断するのが当たり前となっています。
このように、現在においてはホームページの内容や情報の質などが事務所の信頼性に直結するといっても過言ではありません。
アンケートやホームページの分析により、顧客のニーズが把握できたら、次に必要なのが『コンテンツの決定』となります。
これはなぜかといえば、集客は個々の対策を場当たり的に行うものではなく、はじめに「伝えるべきこと」や「狙うべきターゲット」、「それに適した方法」などを決めたうえで行う必要があるからです。
そして、これらが決まったら、それに沿ってDMやホームページの作成やセミナーといった具体的な対策を行い、その結果をまたアンケートで確認して改善に生かしていくという流れになります。
しかし、多くのケースでは、この作業を何もせずに、いきなり宣伝や広告をしてしまったりします。しかし、それではニーズが何なのかがわかりませんし、対策の効果をフィードバックしずらいものとなってしまいます。
なお、コンテンツは、自分たちのことを紹介するためではなく、閲覧者の悩みの解決や興味に応えるために作るものという位置づけとなります。そのため、事務所案内や告知をするだけでなく、閲覧者が読んでためになる記事を発信する必要があります。
したがって、ページ数やコンテンツの内容についてもある程度のボリュームが必要となります。
そのため、具体的な集客をする際には、これらの流れを始めに設計して、一つの仕組みとして行うことが効果的となります。
集客の仕組化の手順と効果的な作り方
では、具体的にどのような仕組みを作ればよいのかということですが、会計事務所の場合には次のような流れで作業をすることをおすすめします。
集客の仕組化の手順
➀ 明確な事務所のコンセプトの決定 (アンケート等を参考にして決定) ➁ コンセプトを具体化するための仕組みの構築 (どんな仕組みで集客するか?) ➂ 仕組みを実現するための具体的な対策の実施 (DM、HPなどの対策の実施) ④ 各対策の効果の確認と分析(結果の分析・アンケートの実施) ⑤ 受注・リピートへつなげるための仕組みの修正、改善 |
なお、集客を効果的なものとするには、DM配布やホームページの作成といった個々の対策を独立したものではなく、相互に関連付けて行うことがポイントといえます。
たとえば、DMについてはホームページのトップページを見せるのではなく、案内先となるページを用意してそこに誘導する、さらにそこからお客の事例やプレゼントページへ誘導するなどです。
また、ホームページを見た方については、そこから実際に配布したチラシを見せるなどでもよいでしょう。SNSについても同様の方法が使えます。
なお、集客の仕組み化をする上で、注意しなければならないのが、上記➀〜⑤の中のいずれかについて十分にパフォーマンスを発揮できない箇所があると、全体のパフォーマンスも大きく低下してしまうということです。
例えば、上記ほの集客工程➀~➄の効果を各1だとすると
➀1.0×➁1.0×➂1.0×④1.0×➄1.0 = 1.0
となります。
もし、それぞれのポイントを0.1ずつ上げると
➀1.1×➁1.1×➂1.1×④1.1×➄1.1 = 1.61
となり、約1.6倍の集客率の増加となります。
しかし、他は同じでも、途中の➁パフォーマンスが0.5ならば
➀1.0×➁0.5×➂1.0×④1.0×➄1.0 = 0.5
とその効果は半分になってしまいます。
これが「集客は掛け算」であるということの意味しています。
集客をする時には、このような箇所があると、その効果はよくて足し算、場合によっては引き算となってしまいます。
見込み客はHPのどこを見ているのか?
このようにホームページは、集客の仕組みの中でもとくに重要な位置づけとなります。
では、見込み客は、ホームページのどこを見ているのでしょうか?
一般的に、ホームページの閲覧者は、次のようなことに注目しているとされます。
➀ HPの記事の内容が、どれだけ自分の悩みにマッチしているか?(悩みの解決の有用性) ➁ HPの記事の内容が、どれだけ自分の悩みにマッチしているか?(悩みの解決の可能性) ➂ 記事の内容が、どれだけ専門的な情報なのか?(専門性) ④ 記事を書いている人は、どんな資格や知見にもとづいて記事を書いているのか(権威性) ⑤ HPの記事の内容が正しい情報がどうか?(信頼性) ⑥ 理解できるわかりやすい内容となっているか?(ユーザビリティ) |
これらは、実際の集客で役立つだけでなく、SEO対策をする上でも欠かせない要素となります。
現在、Googleでは検索品質評価ガイドラインにおいて、E-A-Tを重要な基準として記事を評価することを明らかにしています。E-A-Tとは、それぞれExpertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trustworthiness(信頼性)の頭文字です。
また、E-A-Tの中でも、とくに専門性を意識したサイト作りが重要とされています。
会計事務所の方が、本業である会計や税務について書いた記事は、それだけでE-A-Tが高いとみなされるため、普通の人が書いた記事よりも優位となります。
しかし、これはあくまでもGoogleの評価基準であって、これを満たしているからといって必ずしも読者が満足するものとなっているとは限りません。また、同業者との関係では、優位性はなくなってしまいます。
したがって、ホームページの記事においては、これらを満たしつつも
・ ニーズにあったテーマの選定
・ 明確な解決方法の提示
・ 具体的な事例やわかりやすいたとえなどを使った説明
が求められることになります。
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