中小企業の経営者の方の中には
「もう少し、借入れをしたいがあと、どのくらい借りられるのだろうか?」
「そもそも、金融機関では自社のことをどのように評価しているのか?」
という疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。
その決定的な基準は「債務者区分」にあります。
「債務者区分」の内容については「これで企業の運命が決まる!「債務者区分」とは?」に詳しく解説していますが、この区分がどうなっているのかにより、「金融機関から見たあなたの会社の評価」がほぼ決まってしまいます。
このチャートをお使いいただければ「あなたの会社が金融機関にどう評価されていのか?」、「まだ借り入れができる可能性があるのか?」を判定していただくことができます。
借入可能性診断チャート
このチャートでは、融資の借入れの可能性を「債務者区分」をもとに判定しています。
※ 債務者区分がAに近いほど、借り入れの可能性が高くなります。
以下の表の項目に、あなたの会社の状況を当てはめてください。
該当するアルファベットが、あなたの会社の債務者区分の目安となります。
※ 注意 この表による結果は、一つの目安であり絶対的なものではありません。 資産の状況や業歴、 担保や保証人の状況等により判定結果は変わります。 正確な債務者区分の判定については、取引先の金融機関へご確認ください。 また、判定の基準は、主に地方銀行クラスによる評価を想定しています。 |
(1)次の表の決算状況と返済状況の組み合わせから、現在のランクを出してください。
債務者区分判定表(横に進んで見てください)
決算状況 | 返済状況 | ||||||
債務超過 | 損 益 | 繰越損 | 延滞なし | 延滞1~3ヶ月 | 延滞3~6ヶ月 | 延滞6ヶ月~ | リスケの 有無 |
なし | 黒字 | なし | A | B | B´ | C | B´ |
なし | 赤字 | あり・なし | B | B | B´ | C | B´ |
前期のみ債務超過 | B | B | C | C | C | ||
2期以上債務超過 | B | C | C | D | C |
※この表では、最低ランクをDまでを表示。
(2)以下の表から、算定したランクに対応する債務者区分を求めてください。
各区分の内容
区分 | 債務者区分 | 概 要 |
A | 正常先 | 業績が良好であり、財務内容にも特段の問題がない |
B | 要注意先 | 業績低調、延滞など、今後の管理に注意を要する |
B´ | 要管理債権先 | 要注意先のうち要管理債権※がある |
C | 破綻懸念先 | 現在は経営破綻の状況にないが、今後、破綻が懸念される |
D | 実質破綻先 | 法的・形式的な経営破綻の事実はないが、実質的に破綻状態 |
E | 破綻先 | 法的・形式的な経営破綻の事実が発生している |
【要管理債権とは】
要注意先のうち3ケ月以上の延滞及び貸出条件の緩和(いわゆるリスケジュール)がされた場合の債権をいいます。
「要管理債権先」に該当する場合には、単純な要注意先の場合よりも格付けが1ランクダウンします。
ただし、上記の結果に加味して、次の要因がある場合にはランクがアップする可能性があります。
◆ 業歴が長い
◆ 技術力が高い。
◆ 販売力が高い。
◆ 経営計画を作成している。
◆ 代表者個人の資産が多い。
◆ 他からの支援が見込める。
逆に、上記の判定結果がよくとも、次のケースに該当する場合には、借り入れが難しくなります。
■ 会社または代表者に多額のノンバンクからの借り入れがある。
■ 決算書の勘定科目の中に不明瞭、不自然なものがある。
■ 決算書が、粉飾を強く疑われる内容である。
■ ここ数年で売り上げや利益が減少傾向にある
■ 経営者が高齢で後継者が決まっていない。
■ 申込先の金融機関が、融資の取り上げに消極的である。
■ 会社の有利子負債(社債および今回借入希望分を含む)の全額を
■ 「一年間の税引き後利益+一年間の減価償却額」で割った年数が10年を超える。 など
なお、およその借入可能な限度額については、「いくらまで借りられる?借入限度額の計算法」」でご説明している方法で計算することができます。
今後の借り入れの可能性について
それぞれの債務者区分に対応する評価は、以下のとおりとなります
上記の判定の結果が A の会社
財務上は特に問題がなく、すでに多額の借り入れ等をしていない限り、融資を受けられる可能性が十分にあります。 |
上記の判定の結果が B の会社
借りられる可能性はまだありますが、財務の内容や金融機関の対応によっては、これ以上の融資が厳しい場合があります。早期に問題点を改善し、債務者区分の改善をする必要があります。 |
上記の判定の結果が B´ の会社
借入れは、かなり難しい状況です。 しかし、現状のままでは可能性がかなり低いことから、まずは経営改善計画を作成し、中長期的な経営の内容について金融機関の理解を求める必要があります。 具体的な対策については「赤字企業はこうすれば融資を引き出せる!」をご覧ください。 |
上記の判定の結果が B´以下 の会社
通常の形では、まず借りられないと考えた方が無難です。 財務内容によっては、融資を受けるどころかこれまでの借入金の回収対象となることも十分に考えられる状況です。 特にランクが低くなるほど可能性が高まるため、至急に対策をする必要があります。 |
まとめ
上の判定でB以上の評価となった企業については、金融機関からの評価に大きな問題はなく、安定した融資を受けられる可能性が高いといえます。
しかし、B´以下の判定となった企業については、金融機関に警戒されている可能性が高いため、早期に対策をする必要があるでしょう。
具体的な対策方法については「赤字企業はこうすれば融資を引き出せる!」をご参照ください。
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