コンサルの仕事をしていると、よくお客様から「一番出やすい融資は何ですか?」という質問を受けることがあります。
そんな場合、簡単に「●●です!」と断言できればいいのですが、利用できる融資はそれぞれのお客様によって変わるため、「必ずこれが一番です」とは言い切れません。
しかしそれでも、多くの方が利用できる融資で、 比較的、審査に通りやすいというものがあります。
「できるだけ確実に事業資金を獲得したい」とお考えの方は、ぜひ、この記事を参考にお申し込みいただければと思います。
現在、最も事業資金を借りやすい融資とは?
借りやすい5つの融資とその特徴
事業資金が借りやすい融資というのは、その時々で変わりますが、2021.04時点で最も出やすいと思われるのは、次の5つです。
◆ 新型コロナウイルス感染症特別貸付(政策金融公庫) ◆ 担保を不要とする融資(政策金融公庫) ◆ 伴走支援型特別融資(政策金融公庫) ◆ 小口(もしくは「特別小口」)(保証協会) 〇 新創業融資制度(政策金融公庫) |
はじめの4つの融資制度は、一般的な企業が利用するものとなりますが、最後の新創業融資制度については創業者向けのものとなります。
これらの5つの融資には、共通した特徴があります。
それは、「政策的な理由により借りやすくなっている」ということです。
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、コロナウイルスの影響により売り上げが減少して倒産する企業を救うための制度です。そのため、提出書類が少なく、また、審査も非常に簡単になっているという特徴があります。
参 考 最新!コロナ融資の概要と改正点
担保を不要とする融資
税務申告を2期以上行っている方を対象に、法人は無担保・代表者のみの保証、個人は無担保・無保証人で利用できる融資制度です。
参 考 担保を不要とする融資制度
伴走支援型特別融資
「伴走支援型特別融資」は、2021.04より開始したこれまでのセーフティネット保証4号、5号、危機関連保証の3つの保証を統合してできた新しい保証制度です。
参 考 伴走支援型特別融資
小口(もしくは「特別小口」)
小口は、通年で行われている制度融資の一種で、一定の規模以下の企業が借りやすくしたものとなっています。また、信用保証協会の100%の保証が受けられます。
参 考 「小口融資」の特徴について
新創業融資制度
新創業融資制度は、創業者が利用できる融資制度で、過去の実績を必要とせず、一定の要件を満たせれば申し込みができるところに特徴があります。
参 考 【新創業融資制度】の正しい使い方。すべての項目を完全解説!
以上のように、「借りやすい融資」とは、何らかの政策的な理由で行われているものがほとんどなので、まずはじめに狙っていくべきものとなります。
借りやすい融資の注意点
とはいえ、これらの融資が無条件で出るわけではなく、当然、審査は行われます。
そこで気をつけていただきたいのが、「それぞれについての特別な条件」です。
これらの融資は出やすい反面、それぞれについて特別な条件があるため、その要件をクリアーできる方でないと申し込みができません。
その条件を満たせない場合には利用ができませんので、まずは希望の融資の条件に該当するかどうかを確認する必要があります。
制度名 | 特徴的な条件 | 上限額・枠 | その他 |
新型コロナウイルス感染症特別貸付 | 最近1か月間の売上高等が前年同月比で5%以上減少していること他 | 8,000万円以内 | 別途、創業者向けの条件あり |
担保を不要とする融資 | 税務申告を2期以上行っていること、所得税等を原則として完納していること | 4,800万円以内 | 他の融資と組み合わせて利用 |
伴走支援型特別融資 (全国) |
コロナにより売上が 15%以上減少していること、セーフティネット保証の4号、5号、危機関連保証のいずれかの認定がとれること | 4,000万円以内 | 融資申請時に、経営行動計画の策定が必要 |
小口 | 従業員数が20人(卸・小売・サービス業では5人)以下の企業 | 2,000万円以内 | 既存借入れ分と通算して2,000万円以内 |
新創業融資制度 | 創業前および創業後2期を経過するまでの企業 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) | 確定申告前の場合は1/10の自己資金必要 |
なお、以前あったセーフティネット保証の4号、5号、危機関連保証については、伴走支援型特別融資への統合により利用できなくなったことにご注意ください。
借りやすい融資の特徴
これらの融資が借りやすい理由
これらの融資が借りやすいのには、いくつかの理由があります。
これらの融資に共通する借りやすい理由の1つが「いずれもが政策的な理由により作られている」ということです
まず、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「伴走支援型特別融資」については、いずれもコロナによる売上げの低下による資金繰り悪化への対策です。
次に、「担保を不要とする融資」については、担保や保証人がない企業の救済対策です。
そして、制度融資の「小口」は、経営力の弱い零細・中小企業への支援ということになります。
また、最後の「新創業融資制度」は、創業者の増加とこれらの資金の支援がテーマとなっています。
このように、「借りやすい融資」には、他の一般的な融資と比べて政府が重点的に力を入れている政策が反映されているという特徴があります。
なお、制度融資の「小口」については、他にも借りやすい理由があります。
それはこの融資が「責任共有制度」の対象外であるということです。
通常、信用保証協会の保証を使った融資(たとえば、制度融資など)を利用する場合には、もし借主が返済できなくなったときには、信用保証協会が80%、融資をした金融機関が20%の割合でその損失を負担します。
これを「責任共有制度」といいますが、先ほどのこの制度については、特例としてこの責任共有制度の対象となっていません。信用保証協会が100%の負担をします。
したがって、金融機関としては万が一の場合のリスクをかぶる必要がないため、積極的に融資に応じられるという背景があります 。
タイプ別でみる!本当に使いやすい融資は?
これらの融資はどれも使いやすいとはいえ、すべての人にとって同じように使いやすいというわけではなく、その利用のしやすさはその方の状況により変わります。
なので、ここでは利用者のタイプごとに使いやすい融資をお勧めします。
売上げが5%以上低下している方に、一番利用しやすいといえるのが「コロナ特別貸付」です。
そもそも、この融資はコロナにより売り上げに影響をうけている方のために作られたもので、条件さえ満たせれば簡単な手続きで融資を申し込めます。
はじめてこの融資を利用する方には、かなり審査が甘めであるというのも大きな魅力です。
また、制度融資(信用保証付融資)の中で、使いやすいものといえば「小口」です。
この融資は金額は2,000万円と比較的小さめですが、少人数で経営をされている企業であれば、ほぼ誰でも利用できる制度です。
特にこの融資は、信用保証協会の100%の保証がついているため、他の融資よりも金融機関の協力が得やすく、その分融資が出やすいものとなっています。
一般の企業の方にとって、利用しやすい日本政策金融公庫の融資が「担保を不要とする融資」です。
日本政策金融公庫の融資は、原則として担保か保証人を必要としますが、この制度を利用すれば最大4,800万円まで無担保無保証で融資を受けることができます。
また、この融資制度はほとんどの融資と組み合わせて使うことができるので、無担保無保証で利用したい方にとっては必須といえます。
創業者の方にお勧めなのが「新創業融資制度(政策金融公庫)」です。
3,000万円までの融資が無担保無保証で利用できます。
特に法人については、代表者が連帯保証人にならずに済むという特典もあります。
ただし、開業前の方や、税務申告を1回もしていない方については、1/10以上の自己資金が必要といった要件があります。
セーフティネットの4号、5号や危機関連保証の認定が取れる方が利用できるのが、制度融資の「伴走支援型特別融資」です。
この融資制度は、2021.04.01にそれまでのセーフティネット保証や危機関連保証を一本化してできた新しい制度です。
この融資は、0.2%の信用保証料で利用できることが特徴です。
しかし、申し込みの際には経営行動計画書の提出をしなければならない、申込み後の5事業年度の間は四半期ごとに金融機関への報告が必要などといった条件があります。
以上はあくまでも一般の方企業で使いやすいという観点から選んだものですが、要件を満たせばその他の融資も利用できますので、ぜひ、自分に一番合った融資を見つけてください。
なお、119番資金調達NETでは、融資獲得のサポートの他、銀行取引の改善対策などについて直接、その方の状況にあわせてアドバイスしています。
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