「代位弁済とはどのような手続きなのか?」や「代位弁済がされた場合のリスク」などについては、「信用保証協会の代位弁済とは?具体的な対応例と返済計画の作り方」の記事で解説いたしました。
また、同記事の中で代位弁済がされたときには、「信用保証協会と今後の返済についての話し合いをすることが何より重要」という対応策を示しましたが、これまで金融機関とこのような交渉をされたことのない場合には、戸惑うことが多いと思われます。
そこでこの記事では、具体的に信用保証協会に代位弁済による一括弁済の回避や損害金の減額をお願いする場合の準備や対応の仕方について解説いたします。
代位弁済の一括弁済の回避等に必要な準備とは?
代位弁済の一括弁済の回避等をしてもらうための前提条件
代位弁済の一括弁済の回避や損害金の減額等を信用保証協会に検討してもらうためには、いずれの場合についても一定の前提条件が必要となります。
代位弁済の一括弁済の回避等を交渉するための目安
② 代位弁済後の支払いについて、遅れや未納がない
③ 債務元本の残高や損害金の額が過大でない
④ 継続して会社の利益が確保できている
代位弁済の一括弁済の回避等を認めるのは、信用保証協会側にとって不利となる条件を認めることであるため、「手続きに応じても大丈夫だろう」と納得させる必要があります。
また、お願いの内容が「代位弁済の一括弁済の回避なのか?」、「損害金の免除や減額なのか?」によっても交渉の難易度が異なるため、状況に応じた対応が必要となります。
一括弁済の回避のための対応
内入れをして残額を分割返済
代位弁済による残債の一括返済が難しい場合には、元金について内入れ(一部返済)をして元本の額を減らすことより、一括弁済の回避を検討してもらえる余地が生じます。
この場合、残債を分割して支払っていく必要がありますが、そのためには元金が一定額程度まで減っていることや、その後の返済に無理のない計画が作れることが必要となります。
損害金の支払いを免除または減額
代位弁済の最中に支払われた返済額は、まずはじめに元金の支払いにあてられ、その後に損害金の支払いへ充当されます。
そのため、長期にわたって返済を行っている場合、元金は相当額が減っていても、それ以上のペースで損害金が膨れ上がっているということが少なくありません。
しかし、このような場合、損害金の免除や減額を交渉できる可能性があります。
元金は借りた金額の本体のため、通常、この部分を減額することはできません。
けれど、損害金はペナルティーにより発生した付帯的なもののため、信用保証協会としてもこの部分については免除や減額に応じやすいといえます。
とはいえ、損害金も本来は約定にもとづいて支払うべきものであるため、免除や減額が無条件に認められるものではありません。
最終的には、債務者のそれまでの支払実績や残債額、今後の返済見込み、所有不動産の売却の有無などを考慮して判断されることとなりますが、とはいえ、元本のカットよりは交渉しやすい部分といえます。
信用保証協会との協議の方針について
信用保証協会への協議の申し入れ
一括弁済の回避や損害金の免除・減額を認めてもらうためには、次のような内容を1~2枚の用紙にまとめて信用保証協会へ協議の申し入れをするのが効果的です。
なお、中にはこの申し入れをすべて口頭で行おうとする方もいますが、お勧めしません。
なぜなら、複雑な内容を間違えなく説明するのは難しいだけでなく、担当者もその内容をすべて正確に把握できないからです。
また、金融機関では、原則としてすべてのやり取りを書面にします。これは、内容を正確に残すというだけでなく、支店内で決済をするために書面が必要だからです。
そのため、協議の申し入れについても、書面の形で提出する必要があります。
これまでの経緯について
どのような経緯で代位弁済になったのかという経緯をできるだけ正確に記載します。経緯については、記憶にもとづいて記載するのでなく、必ず契約書や過去の交渉の記録などの正確なエビデンスにもとづいて記載するようにしてください。
経緯のまとめ
・信用保証協会付融資を借りた経緯(いつ、なにに、いくらを) |
代位弁済の対象となる債務に関するまとめ
代位弁済の対象となる借入れについて、以下の内容を中心にまとめます。
具体的な金額や内容については、信用保証協会から送られてくる債務償還表や支払いに関する資料にもとづいて正確に記載します。
代位弁済の対象となる債務に関するまとめ
借入した年月日 年 月 日 |
今後の対応について
今後、信用保証協会に対して行う、対応の内容を簡潔にまとめます。
なお、損害金の計算などはざっくりとしたもので構いませんが、内入れ額等の調達の根拠やその後の返済見込みについては、しっかりとした根拠にもとづいて記載する必要があります。
今後の対応について
・信用保証協会に対してどのような対応(残債に対して〇〇円を内入れ、遅延損害金の免除・減額等)を依頼するのか?また、どの程度の支払いができるのかや、その額はどのように用意するのか? |
ただし、必ず要望がそのまま承諾されるとは限りません。
したがって、要望の内容に問題ありとされた場合を想定し、その後に取るべき対応についてもあわせて確認しておきます。
信用保証協会への確認項目 ➀ 残債の分割返済が可能かどうか? ② 仮に、このプランでの承諾が難しい場合には、どのような対策が必要か? ③ 正常化までどの程度の期間が必要か? |
以降は、このようなやりとりを繰り返し、双方の意見をすり合わせ、妥協点を見出していきます。
代位弁済解消後の注意点
もし、協議が成功し、残債の分割払いが可能となった場合でも、その後すぐに新たな借り入れができるわけではありません。(ただし、求償権消滅保証による場合には、旧債は消滅し、新たな借入れが可能となります。)
ケースにもよりますが、追加の借入れが可能となるためには、最低でも1年以上は返済実績や経営状況の推移を見られるのが普通です。
そのため、この間については外部からの借入れによらない、自己資金だけでの運営が必要となるため、この点も考慮した返済計画や経営計画が必要となります。
119番資金調達NETでは、代位弁済に関する対応や信用保証協会との協議、これらの計画の作成に関するサポートを行っています。
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