これから融資を受けようとされる方の中には、金融機関との面談が怖いという方が少なくありません。
「どんなことを聞かれるのだろう?」
「うまく計画内容を説明できるだろうか?」
「質問に答えられなかったらどうしよう!」
みなさんが、こんな不安をお持ちになるのはよくわかります。
しかし、金融機関との面談はシッカリ対策をして臨めば、思うほど怖くはありません。
とはいえ、やはりはじめての方にとっては緊張するものですし、、いってはいけないNGなどもあります。
ここでは実際に日本政策金融公庫の面談で聞かれた15の質問を例にして、面談までの流れや、回答のポイントについてご説明します。
融資の面談の概要と注意点
日本政策金融公庫の面談の流れと概要
日本政策金融公庫における面談は、次のような流れや体制で行われます。
融資を申し込むと
➀「その場で面談日の希望を聞かれる場合」 ➁「何日かしてから連絡が来る場合」 |
の2つのケースがあります。
いずれの場合も、金融機関の都合も加味した上で、面談日や場所が決められます。
けれど、必ずそれに従わないといけないわけではありません。
もし、それが自分の都合に合わなければ、ハッキリ自分の希望を伝えましょう。
場 所
面談はあらかじめ指定された日時・場所で行われます。
面談は、通常、金融機関のカウンターや応接で行われますが、申込人の事務所が面談場所に指定される場合もあります。
体 制
面談は、通常、金融機関の担当者1~2名、こちら側1名(本人)という体制で行われます。
しかし、制度融資(信用保証協会付融資)の場合には、さらに協会の人間がこれに加わることがあります。
なお、面談は公庫の方がいくつかの質問をし、本人がそれに答えるという形で進められます。
事業計画書などの資料がある場合には、事前に提出するか、この面談の際に持参するかのいずれかとなります。
面談の時間は「約30分~40分程度」というのが一般的です。
しかし、内容に不審な点がある場合や、深く事情を聞きたいような場合には、さらに時間をかけて行われます。
質問の内容
質問の内容は、新たに行う事業に関する基本的な項目がほとんどです。
なので、事業の中身がシッカリと頭に入っていれば、特に問題ありません。
とはいえ、ときにはすぐに答えにくいものや、意地悪な質問がされることもあるため、しっかりとした対策を準備しておく必要があります。
絶対に聞かれる2つの質問
いろいろな質問がされる中で、特に注意しなければならないのが
◆ 「家賃や公共料金などの支払いの遅れについて」
という2つの質問です。
特に新創業融資制度を利用する場合には
「創業にかかる経費の1/10以上の自己資金が必要」
という条件があるため、自己資金についてはかなり深掘りした質問がされます。
なので、この2つの質問については、必ず対策をしておいた方がよいでしょう。
「自己資金をどうやって作ったか?」
自己資金については、
(法人の場合は、法人名義の通帳)
➁ 事業の元手が入っている個人の通帳
の両方を見て確認が行われます。
もし、対象となる通帳が複数ある場合は、そのすべてを持参します。
ケース別 必要となる通帳の種類
ここで確認がされるのは、
「 自己資金をどうやって作ったのか? 」
という経緯についてです。
確認されることは、ケースによって異なります。
➀ 自己資金が給与を貯めたものである場合 自己資金が給与や退職金などを貯めたものである場合には、その経歴が通帳でわかるため、それ以上聞かれることはないでしょう。 |
➁ 給与等が現金払いの場合 給与等が現金で支給されている場合には、通帳の記録だけではその経緯はわかりません。 そのため、この場合には給与明細などの提出が必要となります。 |
③ 自己資金が贈与されたお金の場合 自己資金の一部を親などから贈与されている場合は、その事実を説明する必要があります。 そのためこの場合には、親への確認がされる他、その親の通帳の提出を求められることもあります。 |
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家賃や公共料金等の支払い遅れについて
家賃や公共料金などといった毎月、定期的に支払うものに遅れや未納があった場合には、必ずその理由を聞かれます。
この対象となるものとしては、以下のものがあります。
● 家賃 ● 公共料金 ● クレジットやローンの支払い ● 携帯電話の料金 ● 住宅ローンや固定資産税の支払い |
これらの中に、支払いがなかったり、遅れている月がある場合には、それだけで融資はかなり厳しくなってしまいます。
また、確認のされる範囲は、
「 直近より6ヶ月~約1年前 」
までというのが一般的です。
なので、もし、この期間内に支払いの遅れがある場合には、しばらく申込みを見合わせた方がよいかもしれません。
通帳の確認で重要となのは「期限までに支払いがされているか?」ということです。
したがって、「申込みの時までに遅れ分をまとめて払っておく」というのは通用しませんので、ご注意ください。
なお、事業計画書の作成では、どんなに注意しているつもりでも、自分では気がつかないミスや、見落としが生じたりしますが、面談の時にその点を指摘されてしどろもどろとなってしまうケースも少なくありません。
しかし、このようなことはあらかじめ、経験のある第三者の意見や専門家の意見を聞くことにより、面談での失敗をなくすことができます。
融資での成功率をあげる対策については、以下の記事をご覧ください。
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その他の聞かれる質問とポイント
以上の他に、面談で聞かれやすい質問としては以下のようなものがあります。
Q1 自己資金はいくらなのか? どうやって貯めたのか?
自己資金は、これが入っている通帳や預金・定期の残高証明などを提示して証明します。 通帳に親からもらった資金が入っている場合には、その箇所に赤線を引くなどして提示するとよいでしょう。具体的にどのようなものが自己資金となるのかや、自己資金の範囲については、自己資金がなくても新創業融資制度は借りられる!」に詳しく解説しているので、こちらをご覧ください。 |
Q2 公共料金や家賃の支払いは、どうやっているのか? 支払いに問題はないか?
公共料金や家賃を口座引き落としで支払っている場合には、通帳のその箇所を提示します。 また、その他の場合には支払った用紙の残票や、家賃の支払い帳などを提示します。なお、この際には毎月の支払いの経緯が連続していることが重要となります。 もし、支払いが連続していない月や遅れた月があると融資に不利となりますので、事前に確認してから申し込んでください。 |
Q3 営業場所はどこなのか?
営業場所については、テナントの賃貸契約書や不動産屋の間取図などを提出します。 しかし、この場合、必ずしも正式な契約までしている必要はありません。また、同時に住宅地図のコピーや、建物外観の写真を用意しておくと好印象となります。なお、融資の結果がでるまでにそのテナントを他に借りられてしまったり、契約が解除されると、その融資はやり直しとなってしまいますのでご注意ください。 |
Q4 なぜ、この事業を始めようと思ったのか?
これはほぼ必ず聞かれる質問の一つですが、ここで重要なのが「公利」という視点です。 その動機が単に自分の金儲けだけを考えたものではなく、多くの人に利益を与えるもの、いわゆる「公利」にもつながるという点をアピールできれば、金融機関の評価は高くなります。【回答例】 「私は子供の時、誕生日にオムライスを食べてこんなにおいしいものがあるのかと感動しました。それと同時に、それを家族が一緒に喜んでくれたことが飲食業にあこがれを持ったきっかけです。今後は自分でおいしいものを提供するだけでなく、あの時と同じように多くの人に笑顔になってほしいという思いから飲食店を始めることにしました。」 |
Q5 これからする事業の経験はどのくらいあるのか?
事業経験の有無は、融資の審査に大きな影響を及ぼします。 事業経験の期間は「6年以上」あれば問題ありませんが、できれば「3年」以上は欲しいところですなお、事業経験がまったくなくとも、フランチャイズに参加してシッカリとしたトレーニングを受けていれば「事業経験あり」と認めてもらいやすくなります。 もし、事業経験が少ない場合には、前職で経験した関連する業務(例えば、経理や仕様品管理、接客など)を組み合わせてアピールすることにより、事業経験の不足を補うことができる場合があります。 |
Q6 これまでに何か自分で事業をしたことはあるか?
この質問は、上の質問と同じように、一見すると過去の経験を聞いているように思えますが、これとは異なり、「過去に事業主として事業をした経験があるか?」ということを聞くものです。
なので、うっかり「YES」と答えてしまうと、融資が受けられなくなってしまう可能性があります。なぜなら、新創業融資制度を利用できるのは「開業前、または開業後2期以内」の方だけだからです。 つまり、以前に事業経験があったことがばれてしまうと、創業融資の適用外となってしまう可能性があるわけです。もし、何らかの事業経験が過去にあったとしても、ここでは「NO」と答えてください。 |
Q7 テナントは借りるのか? なぜその場所で営業するのか?
テナントを借りて営業する場合は、契約まで締結しておく必要はありません。 不動産屋の間取り図(住所や家賃、保証金の額も記載されているもの)を提出することでもOKです。また、「なぜその場所を選んだか?」については、「単に家賃が手ごろだったから」とか「自分の好みにあったから」などのあいまいなものではなく、しっかりとした根拠ある回答が必要です。【回答例】 この場所は大通りからは一本奥に入った通りですが、次のようなメリットがあるためこの場所を選びました。 ➀ 大通りから見込み客を誘導できる場所である。 ➁ 近隣に同じような業種の店が少ない。 ③ 統計調査の結果から、比較的購買力の高いターゲット層が見込める。 ④ 同じような条件の他地域と比較して、家賃相場が安い。 |
Q8 営業時間は? 定休日は?
営業時間や定休日は、単にこれを決めてあるだけというでなく、以下のように売上げの計算にも直接かかわってくるので注意してください。
【例】 |
Q9 主力となる商品は何か?
サービス業や小売業などでは、 ◆ 主力商品が売り上げに占める割合 ◆ 仕入先 ◆ 掛け率 ◆ 売掛・買掛の期間(サイト) などについても答えられるようにしておいた方がよいでしょう。また、仕入先は、できるだけ一社に絞らず、複数業者を用意しておくようにします。もし、特定の主力商品がない場合には、自分で想定した客単価などにもとづき説明します。 具体的な方法については「事業計画書の成功実例を完全公開!」の記事で解説していますので、ご参照ください。【回答例】 今回、予定しているのは居酒屋なので、主力商品といったものはありませんが、客単価は2,700円程度を予定しています。この客単価の根拠としては当店メニューでいえば、 ドリンク@500円×2、メインメニュー600円×1.5、サブメニュー400円×2 といった組み合わせを想定しています。 |
Q10 想定する月の売上げや経費の額はいくらか?
月ごとの予定売上けを考える際に気をつけるべきなのは、「根拠なく右肩上がりの数字にしない」ということです。
通常、どんな商売でも季節的に売れる、売れないの変動(季節変動)やその業種特有の波があります。しかし、これを無視した計画は信ぴょう性の乏しいものとなってしまいます。 売上げを作る際の注意点については、「創業融資を引き出す売り上げの作り方」の記事で解説していますが、例えば、座席についても常に満席にするのではなく、死席なども想定した計算式とする必要があります。 |
Q11 取引先はどういう会社なのか?
取引先の商号・本店・事業内容などの他に、そこからどの程度の仕入れや販売をする予定なのかを答えられるようにしておくのが望ましいです。
なお、もし、仮にその会社に問題がある、非合法的なことをしているなどの場合には、審査の上でも大きな不利となります。 【回答例】 |
Q12 なぜ、計画通りの売り上げを達成できると思うのか?
このような質問をされた場合には、過去に行った同種の事業の経験から十分可能と考えていると説明します。
また、できないことや経験がないものについては無理に「できる、頑張る」などと主張するのでなく、その点については他の人材にまかす、外注するなどといった現実的なプランを考えておきましょう。 【回答例】 |
Q13 もし、計画通りにいかず、返済ができなくなったらどうするつもりか?
通常は、ここまで突っ込んだ質問はあまりないのですが、以前のお客さんの例ではこのようなケースもありましたので、以下を参考に事前に回答を準備しておいた方がよいでしょう。
【回答例】 |
Q14 営業に必要な許認可の見通しは?
飲食店の営業に必ず必要となるのは、保健所の営業許可と食品衛生管理者の資格なので、この2点については早めに対策をしておくべきです。
しかし、保健所の営業許可は内装設備および電気、水道の開通ができた後でないと検査を行うことができませんので、この点については、工事会社との調整も必要となります。 また、深夜営業をする場合には、これらとは別に「深夜酒類提供の届け出」を警察に提出する必要があるため、これについての予定も伝える必要があります。 【回答例】 |
Q15 信用保証協会融資(制度融資)への申込みはしているのか?
たまに、担当者から「制度融資の利用はしているのか?」と聞かれることがあります。
制度融資との併用自体については問題ないのですが、これを伝えるとそちらの状況をいろいろと聞かれる可能性があるので、このような場合には下記の回答例のように話していただくのがよいと思います。 【回答例】 |
以上が、主な面談時での質問例とその回答となります。
これらのすべてが質問されるわけではありませんが、最低でもこれらのことは聞かれる可能性がありますのでの、シッカリと頭に入れて面談に望んでいただきたいと思います。
まとめ
以上のように、金融機関との面談で質問される項目はほぼ決まったものとなっています。
特に次の項目については、聞かれる可能性が高いと思ってください。
面談で聞かれる可能性の高い質問 ✔ 自己資金の貯めた経緯と出どころ ✔ 家賃や公共料金の支払い遅れや未納の有無 ✔ 開業の理由と事業の経験 ✔ テナントの予定や契約内容 ✔ 売り上げの見込みとその根拠 |
しかし、このような一般的な質問だけでなく、その会社独自の状況に関する質問がされることもありますので、あらかじめ回答を容易しておく必要があります。
「自分の場合には何を聞かれるのだろう?」といった心配がある場合には、ご相談ください。 予想される質問や回答を一緒に考えさせていただきます。なお、119番資金調達NETでは、新規開業資金の申込みのサポートの他、、このブログではご紹介していないテクニックや注意点についても、直接、その方の状況にあわせてアドバイスしています。 随時、初回の相談無料でご利用いただけますので、お気軽にご相談ください。 |
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