あなたは銀行への融資の申込みは、「書類の審査をしてからが本番」などと思っていませんか?
しかし、少しでも融資を有利にしたいのであれば、申し込みの前から「どのような申込みをするか?」ということを考えておく必要があります。
そこで今回は、「申込書の書き方の注意点」、「申し込みでは何を伝えたらよいか?」についてご説明します。
融資の申込み方による影響
申込みの理由と金融機関の回答
皆さんが銀行に融資の申込みをするときは、次のいずれかのパターンによるのではないでしょうか?
② 「いろいろな支払いをしたら資金が足りなくなったので申し込んだ」
③ 「予想外の受注があったため、仕入れ分の申し込みをした」
④ 「設備が古くなってきたので、新型の機械を入れるため申し込んだ」
➄ 「1年分の今後の事業と資金繰りの見込みをまとめて必要額を申し込んだ」
しかし、その場合には、銀行からは次のような答えが返ってくる可能性が高いと思います。
③については「できるだけ出すように協力しましょう。」
④については「前向きに検討はしますが、計画の中身次第となります。」
➄については「わかりました。すぐに稟議を上げましょう。」
では、なぜ、申し込み方により、なぜ、こんなにも対応が異なるのでしょうか?
それは、それぞれで「予想される返済の見込み」が異なるからです。
➀や➁のケース
➀と➁については、単なる目先の資金不足の補填であり、このような事態になることを事前に見通せなかったことに原因があります。
こういう申込みは、銀行からみれば場当たり的なもので、また、返済の原資も不明です。 |
➂のケース
このような申込みは、いわゆる「増加運転資金」といわれるものです。
いわゆる、急な売上げの増加で仕入れ資金が不足したことによる借入れであるため、金融機関は歓迎します。 また、この場合には、増えた売上げが返済の原資として見込めるので、銀行としても安心して融資することができるタイプの申込みとなります。 |
④のケース
④については老朽化した設備を買い替えるための借入れとなります。
そのまま放置すれば生産ができなくなってしまいますが、もし、買い替えることにより生産能力が増えるのであれば利益の増加にもつながります。 なので、この場合は「設備の買い替えにより増加した分の利益」で返済ができるかどうかがポイントとなります。 |
⑤のケース
そして最後の➄についてですが、これは銀行としては最も安心できるタイプの申込みとなります。
なぜなら、融資申し込みに必要な4つの要件(なぜ、いつ、いくら、返済の方法)をすべて満たしているからです。 この場合の返済原資は、「計画で予測される利益」ということになります。 また、銀行側としても、このような申込みであれば、その企業の中長期にわたる事業方針や資金繰りの見込みを事前に知ることができるというメリットがあります。 |
なお、融資の借入申込書の書き方とポイントついては、日本政策金融公庫の借入申込書の正しい書き方をご参照ください。
融資が難しいケース
このようなルールにしたがって申し込んだからとはいえ、誰もが必ず融資を受けられるわけではありません。
もちろん、銀行も企業ですので、どんな申込みをしたとしても融資が難しい場合もあります。
特に、以下のような事由がある場合には、融資が難しくなります。
◆ 経常的に利益が出ていない ◆ 大幅な債務超過である ◆ 決算書の内容に問題がある ◆ 信用保証協会から代位弁済をされている ◆ 家賃、公共料金、ローン、税金などについて延滞や未納がある ◆ 確定申告を行っていない |
参 照 あなたも対象かも?融資・保証を受けられない業種やケースとは?
事業計画書で融資が出やすくなる理由
しかし、なぜ、計画をたてて申込みをすると融資が出やすくなるのでしょうか?
それには、次のような理由があります。
◆ 金融庁が金融機関に対してこのような行為を推奨しているから ◆ 金融機関が今後の計画を通して、返済原資や回収見込みなどを把握できるから ◆ 金融機関だけでなく、信用保証協会の理解も得やすくなるから |
金融庁では、以前から金融検査マニュアルで、このような計画的な経営をする企業への支援を行ってきましたが、それは金融検査マニュアルが廃止になった現在でも変わりはありません。
したがって、金融機関としてもこのような企業を応援しやすいわけです。
なので、「銀行から融資を受けやすい体制」を作るためには、目先の資金だけでなく、中長期の計画を作り、それにより銀行の理解と支援をしてもらうのが最も効果的ということになります。
このような方法であれば、多少の赤字があっても借り入れがしやすくなり、実際に私の事務所でも、このやり方で赤字会社への融資の引き出しに成功しています。
融資の申し込みの例
運転資金の融資の申込み例
なお、計画によれば今後の売り上げ見通しは1,500万円/月、入金予定は7月末(売掛・買掛のサイトはいずれも当月末締め、翌月末払い)からを予定しています。
返済原資は、この回収分からの支払いを計画しています。
詳細な資金繰りの予定はこうなっています(資金繰り予定表により説明)
設備資金の申し込み例
なお、返済については、設備の導入により40万円/月の増加が見込まれるため、設備の減価減価償却費(5万/月)と利益により行う予定です。
詳細な資金繰りの予定はこうなっています。(見積書、資金繰り表により説明)
※ 融資の使い道、時期・金額・借入れの理由、返済原資を明確にする。
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